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問題解決の問題とは何か、解決のプロセス、解決するために出来ること等を解説します。

私たちは、いろいろシーンで多くの問題に遭遇します。それらを抱えながら仕事やプライベートを続けていくと、ストレスが溜まり、それ自体が問題となってしまうことも多いのではないでしょうか?

その時々に起る問題を、効率よく、上手く解決することができれば、ストレスの軽減を図ることにつながり、気分もスッキリと前向きに進むことができるはずです。

問題解決のポイントを知っているだけでも、抱えた問題をどのように捉え、どのようなプロセスを踏んで解決の糸口を見つけるかに役立てられます。

今回は、問題を抱えたときなどに、自身の持っている問題解決能力を少しでも高められるよう、解決のプロセスや出来ること、自身が持っているリソースの洗い直し等について書いてみました。

1つでも参考になることがあれば、活用していただけると嬉しく思います。

Business people who are not going paperless

1. 問題解決とは何か?

(1)問題解決の問題とは何か

問題解決の「問題」とは、「望むべき状態(理想の状態)」と「現在の状態(現状)」との間に差(ギャップ)があり、一致していない状況を「問題」と認識します。理想の状態と今の状態が一致することを「解決」といいます。一致させるためには、それぞれの状態を変化させる必要がります。何を問題として設定するかがずれてしまうと、本来解決しなくてもよいことを「問題」として扱ってしまうことにもなりかねません。「問題」設定がとても重要になります。

(2)問題と似た言葉「課題」とは何か

 問題と混同しやすい言葉に「課題」があります。課題とは、問題を解決するための方向性です。問題解決における「課題」とは、どのような行動をすれば問題が解決するかの取り組みを指します。よくあることに、問題と課題を混同してしまう場合があります。そのような場合は、「問題」は実現したい目標や状況と現状とのギャップのこと、そして、「課題」は、そのギャップを埋めるために出来る行動のこと、と分けて捉えてみるとわかりやすいかもしれません。

(3)問題の種類

 解決を要する問題には、「今現在、発生している問題」(発生型)だけとは限りません。今後発生しうるであろう問題(潜在型)も含まれます。また、より高い理想に近づけるために発生する問題(設定型)もあるかもしれません。このような認識を持つことで、問題を発見する力を磨くことができます。そのために、日ごろから出来ることも多くあります。例えば、「何か問題があるかも?」と考えたり、ありたい姿をイメージしたり、理想と現状のギャップを考えたりするなどです。

(4)問題を抱えるとどうなるか

 多くの人は、問題を抱えるとどうなるのでしょうか?早く解決したいと焦るかもしれません、誰かに相談して解決の糸口を見つけようとするかもしれません。あるいは、その問題を理論的に分析して、手順を踏んで解決のために出来ることからやってみるかもしれません。これらの行動の前提として、その問題を自分事(当事者)として捉える姿勢が必要になります。それとは逆に、我関せずの姿勢で他人事として捉える場合もあるでしょう。問題解決は起こった問題をどう捉えるかによって、自分の役割や対応等に大きな影響が出ます。

(5)問題解決できる人の特徴

問題解決ができる人の特徴として、次のようなことが挙げられます
・現在起っている問題に冷静に向き合い、その本質を見極めることができる
・問題を分析し、具体的な解決策や取り組み方法等を検討してから、実際の行動に移す。
・行動をふり返り、検証し、PDCAを回すことができる。

(6)問題解決出来ない人の特徴

 問題が解決できない人の特徴として、次のようなことが挙げられます。
・問題が発生した時点で、「どうせ無理」とあり諦めてしまい、考えることをやめてしまう。
・問題解決の原因分析はするのだけれども、そこで止まってしまい、行動に結びつかない。
・問題解決の原因分析や取り組み計画を通り越して、頭に浮かんだことを優先に行動してしまう、などです。

2.問題解決のプロセス

(1)問題の発見する

 問題を解決するためには、まず、何が問題なのかを発見することから始まります。問題とは理想の状態と現実の状態との差(ギャップ)です。理想とする状態(目標)に対して、現在の状況がどうなっているのかを観察して、それを見極めることからスタートします。観察力と洞察力が重要になります。

(2)何が問題なのかを明確にする

 問題を発見した次の段階は、何が問題なのかを明確にする必要があります。問題の認識を間違ってしまうと、その後の進行全てに影響が出てしまう可能性が大きくなり。大事なことは、自分の理想の状態と現在の状況との差(ギャップ)を正確に把握することです。一時の感情の迷いで何が問題なのかを判断しない、客観的な視点を持つことも必要になります。

(3)本当の問題を見極める

 本当の問題を見極めることは、そのあとの問題解決策に大いに関わる大切なポイントです。目の前で起こっていることだけを捉えて、これが問題だと認識して解決策を講じても、それが本質的な解決策にならない場合もあります。本当の問題を見極める大切さがここにあります。自分が問題だと思っていることは本当に問題なのかという視点を持つことも大切です。

(4)問題の原因を見つける

 本当の問題を見極めるためにも、問題の原因分析は大切です。問題を引き起こす原因は多岐にわたります。注意したいことは、原因の対象が事象ではなく関わっている人間が悪いと捉えることです。原因分析を進めるためには、与えられたデータや事実の中で問題解決を探っていく方法(垂直思考)と、問題の原因を多角的な視点から掘り下げてアイディアを出していく方法(水平思考)を組みあわせて行うとよいでしょう。

(5)解決策を選択・計画する

 問題の解決策を考える際は、頭に浮かぶ限りの方法を書き出してみることをお勧めします。選択技が少なすぎると、その方法が適切かどうかというところで思考停止に陥ってしまう場合があります。解決策の候補がたくさんあることは、問題解決の可能性も高まることになります。たくさん出たものを絞り込んでいく作業をすることで、解決策の精度も高まり、方向性も定まり、計画も立てやすくなる可能性が大きいと言えます。

(6)解決策を実行する

 問題解決のために選択・計画した解決策を実行するにあたり、まず、それらの優先順位をつけることから始めます。ポイントとして、直ぐにでも取り組めることができること、エネルギーをあまり掛けなくてもできること、何時までに、何を行うかなどが明確になっているなどが挙げられます。実行中、定期的に進捗状況の確認をしながら、その都度PDCAサイクルなどのフレームワークを利用し進めていくことが大事になります。

(7)解決策の評価・検証

 解決策を実行した結果を評価・検証します。評価では、解決策を実行した結果、よかった点や上手く行った点などと悪かった点や上手く行かなった点などを客観的に分析する必要があります。また、改善点の検証も重要です。新しい解決方法を考えることや、状況に応じて柔軟に方向修正を図ることも大事です。また、今回の問題を解決から学んだこと、次に活かせることなどを、しっかり検証することで、この経験を次につなげることができます。

(8)新たにスタートする

問題解決のプロセスは、一度きりで完結するとは限りません。解決策の評価・検証で出てきた意見を次の問題解決の際に活用出来ることが大事です。問題を問題と認識できるよう、アンテナの感度をあげることが大切です。問題はすでに発生している問題だけではありません。これから発生することが予測される問題もあります。経験を積みながら、問題発見能力や決能力を養うことも大切になります。

3.問題解決のために出来ること

(1)問題を発見する力を高める

 問題解決の前提は、「問題」と思われる現象に気づくことです。私たちの周りでは、仕事以外にも日常的にたくさんの「問題」が発生します。真に解決が必要な「問題」は、他の「問題」に埋もれてしまう場合も多々あります。見過ごしてしまいそうな「現象」から、重要な「問題」を捉える視点を持つことが重要になります。ポイントしては、①疑問点を注意深く観察する、②思い込みや前提知識にとらわれないで、ゼロから物事を考えることを大切にする、③自分の思考を批判的に捉え、判断することで自身の思考の癖に気づく、などです。

(2)問題を可視化する習慣をつくる

 問題とは「理想の状態」と「現状」とが一致していない状況を指します。「問題」をどうしたいかを考えてばかりでは解決には至りません。そんな時は、問題をいかに解決するかを可視化することが大事になります。言葉で表現できることもあるでしょうし、図にして描いていくことで、イメージしやすくなることも多くあります。用意するものは、紙とペン、他にカードやポストイットなどがあると便利です。とにかく、考え得るアイディアや情報を書きだしていくことで、問題を可視化できるようになり、客観的に問題を捉える習慣が養われます。

(3)問題の本質を捉える力を養う

 「問題」を現在起っている「現象」と間違えて捉えてしまい、対処療法を取ることが多く見られます。解決策を過去の経験則から引っ張ってくることも多くあります。表面上の「現象」ではなく、「そもそも本質的な問題はなにか」を考え、発見する力を養うことが重要です。本質的な問題は、現象として見えている部分の下にあると考えることです。普段から、自分の周りで起こっている現象や問題について頭を使って考える習慣をすることで、問題の本質を捉える習慣を養いやすくします。

(4)自分の思考の癖を知る

 問題解決のプロセスにおいてジャマをすることの一つに、自分の「思考の癖」があります。「思考の癖」とは、問題解決が上手く行かないと感じたとき、「自分はいつもこうだ」「時間を無駄に使っている」「何度挑戦してもダメだ」などと思ってしまうことです。「思考の癖」によって、自己肯定感が高めづらくなり、日常生活や仕事での達成感や人間関係の構築に影響が出ることがあります。問題解決のプロセスでは、解決することを前提に物事を進めていきます。そこでは「やればできる」をモットーに、ネガティブは思考の癖に気づく姿勢を大事にします。

(5)自分の強みを見直す

 問題解決場面では、「自分の強みは何だろう」「自分は何ができるだろう」と振り返る機会が増える可能性が大いにあります。日々の仕事などに追われて何気なく過ごしているかもしれませんが、問題の解決策を計画・策定していく段階では、自分の強みを考えることが多くなる場合があります。これまでの経験や知識から得たことを思いかえし、そこから何を学び、何を活かしていくかを考え抜く力や活用していく力が大切になります。過去の苦い経験とも真摯に向きあう姿勢が大事です。一人では辛いこともコーチのような信頼できる相手がいることで、出来ることもあります。自分の強みを見直すことで、新たな挑戦の機会が増えることも考えられます。

(6)解決のために適切な計画を立てる

 問題解決のための適切な計画を立てるとは、「ありたい姿になるための具体的な実行計画」のことです。どういう状態が解決であるか(具体的な目標)を決め、現在の状況等の把握を行い、解決策を考え、それを実行に移します。解決策は、より実現しやすいアプローチを選ぶことがポイントです。検証を重ねながら、より精度の高い解決策を決めていけばよいので、最初から1つに絞る必要はありません。解決策が決まったら、実行するための手順を組み立てます。具体的な計画を決めてから行動を開始します。

(7)主体的に行動する

 主体性とは、問題解決等のために自分から課題や目標を設定し、判断し、責任をもって行動することです。問題解決場面において、「○○さん、これをやってください」「□□さんは△△を担当してください」と他人から言われた仕事や役割や頼み事を単にやるのではなく、たとえ頼まれなくても、現状を分析して何をどうすればよいのかを自分で考え、判断し、責任をもって行動することが大切です。

(8)臨機応変な対応が出来る

 臨機応変な対応とは、その場に応じた行動が取れることができることです。つまり、あらかじめ決められていることにとらわれずに、柔軟な思考をもって出来事に対処することができることです。問題解決においては、常に順調に解決プロセスが進むとは限りません。解決策を立案や実行する際には、試行錯誤を繰り返すかもしれません。予想しないアクシデントに遭遇するかもしれません。そのような場合には、特に、臨機応変に対応主力が求められます。

(9)周囲に対する興味関心を持つ

 問題解決は、「問題」を発見、認識することからスタートします。「問題」には、すでに発生している問題のほかに今後発生する可能性がある問題もあります。問題解決では、周囲に対する興味関心を持ち、問題発見力やコミュニケーション能力、行動力を養うことが大事です。問題解決のプロセスでは、「何が問題なのか」「なぜ起こったのか」あるいは「何が不安材料なのか」「どのように対処すればよいのか」などを明確にしていくことが必要になります。孤軍奮闘だけでは解決できない問題も多くあります。より多くの協力を得るためにも、周囲に対する興味関心を持ち続けることが大切です。

(10)心(マインド)を整える

 「マインド」は、日本語では、心や精神、意識、意向などと訳されます。問題解決のプロセスを進めていくにあたっては、立場や状況等に合わせて、適切に心を整えことが重要になります。こころが整っていると、感情に振り回されずに落ち着いて平常心で対応できます。また、ネガティブな感情に心が乱れてしまうことも少なくなり、冷静に自然体で対処できるようになります。問題解決において、どのようにマ心を整えるかということが、その成否を大きく左右するといっても過言ではありません。
こころの整え方にはいろいろありますが、①一日の中でわずかな時間でよいので「瞑想」をするなど自分と向き合う時間をつくる。②心の乱れを感じたら(マインドフルネス)深呼吸してみる。③自分の中のモヤモヤを紙に書くなどしてアウトプットするなどの方法が考えられます。

4.問題解決の際に気を付けること

(1)なぜ(Why)で深掘りしない

 問題解決の分析では問題の原因を探りだすために「なぜ(Why)を多用する場合があります。これはなぜなぜ分析と言われているものです。問題の原因を追究することはとても大事ですが、犯人探しや個人の責任追及で終わってしまい、本当の問題解決にならない場合も多くあります。解決したい問題が曖昧な場合や分析に個人的な感情や思い込みで言っている場合、ただの推測で分析している場合など、視点や方法を間違えてしまうと問題解決が当初の目的と違ってしまうことになりかねません。
 問題解決を行う際には、大きな問題(What)を見つけたら、今何が起こっているのか(What)を観察して大きな問題をさらに分解して小さな問題(What)にすることで、問題解決につながりやすくなります。

(2)先入観を持たない

 問題解決場面において先入観にとらわれてしまうと、行動や判断の幅を狭めてしまう可能があります。先入観とは、それまでの経験や知識などから作られる、固定的で変化しにくいものの見方をいいます。それによって柔軟な発想や自由な思考、判断が妨げられる可能性が大いにあります。固定観念は、問題解決に取り組む際にも、周囲とのコミュニケーションなどにおいて障害になりかねないものです。また、先入観によって、今起きている問題を客観的に見られなくなる可能性もあります。自分のこだわりや思考のクセを知ることの大切さがここにもあります。もし、先入観にとらわれていることに気が付いたら、今ここでの自分の役割な何か、自分は何をしたいのかなどを考えて、リセットする勇気を持つことをお勧めします。

(3)問題と課題を見定める

繰り返しになりますが、「問題」とは、「理想の姿」と「現実の姿」とのギャップです。「理想の姿」は実現したい目標と言い換えられます。「課題」は、このギャップを埋めるために取り組むことです。この取り組みを実際に行うための具体的な方法が「対策」ということになります。問題解決の場面では「問題」「課題」「対策」を使い分けることをお勧めします。ビジネスシーンなどでは、問題と課題が曖昧になってしまい、何に向かって何をするべきかがはっきりしなくなってしまい、問題解決のための方法や解決策がずれてしまう可能性もあります。問題を紙に書き出したり、さまざまな意見を集めたり、時にはフレームワークを活用したりして、「問題」と「課題」を使い分け、適切な「対策」を実践することで、有意義な問題解決につながります。

5.まとめ

日々の仕事や日常の中で、自分の理想とする姿と現実とのギャップに遭遇し、悩むことも多いのではないでしょうか?そのギャップが問題であり、それをどう埋めていくか考えることが問題解決のプロセスです。ただやみくもに解決を急いでしまうと、解決することが問題となってしまい、問題解決のループに巻き込まれてしまう可能性もあります。問題と意識すること、つまり問題発見力を磨いて、現在の状況をよく観察して、対策を練る姿勢が問題解決では求められます。
今回は私の経験をもとに、問題解決の方法を書いてみました。参考になることがありましたら、1つでも試していただけると幸いです。